国会答弁

 

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【サンフランシスコ平和条約の締結】

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【二島返還論から四島返還論へ】

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【日ソ共同宣言の締結】

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第25回国会 参議院 外務委員会 第6号 昭和31年11月29日

○梶原茂嘉君 次に、私は歯色、色丹それから国後、択捉のまあ性格といいますか、法的の性格をどういうふうに考えていいかの点について伺いたい。
戦争継続中においてはもちろんこれは戦時占領であって、その面からの合法性といいますか、これが当然あるわけでありますが、この共同宣言が発効いたしますれば、戦争状態といものは終了する。戦争状態が終了した後における南千島の島々の性格でありますが、この島に関しては、依然戦争状態が継続しておって戦時占領の性質にあると、こういうふうに見るべきか、戦争状態が終了したのであるから、引き続いてソ連側がこれを占拠しておることは不当なんだ、不法なんだと見るのか、不法な占拠を引き続いてやっておるというふうに解釈すべきか。あるいはこの共同宣言の第九項によって平和条約締結の後に引き渡すということが明示されてあるのであるから、この九項あるために、不法な、不当な占拠というものが逆に合法化されるんだ、九項によってむしろこの占拠を継続しているんだと、こういうふうに解釈をしていいのか。それらの点についてどうわれわれは考えるのが正しいのか。その点について一つ。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102513968X00619561129/34

035・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 第九項によって占領が合法化される意味を持っておらないということは、確かに私は申し上げなきゃならぬと思いますが、その法理関係は、特に条約局長から申し上げた方がよかろうと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102513968X00619561129/35

036・下田武三 (検索語が含まれています。)
○政府委員(下田武三君) 従来は、これらの島々に対するソ連の占領は戦時占領でございましたことは仰せの通りでございまするが、しかし共同宣言が発効いたしますと、第一項の規定によりまして戦争状態は終了するわけでございますから、その後におきましては、もはや戦時占領でなくなるわけでございます。しからば戦争状態終了後、歯舞、色丹をソ連が引き続き占拠しておることが不法であるかと申しますと、これはこの第九項で、平和条約終了後に引き渡すと、現実の引き渡しが行われるということを日本が認めておるのでありまするから、一定の期限後に日本に返還されることを条件として、それまで事実上ソ連がそこを支配することを日本はまあ認めたわけでございまするから、ソ連の引き続き占拠することが不法なりとは、これまた言えない筋合いであると思います。
それから国後、捉択等につきましては、これも日本はすぐ取り返すといろ主張をやめまして、継続審議で解決するという建前をとっております。従いまして、これにつきましても事実上ソ連が解決がつくまで押えてあるということを、日本は不問に付するという意味合いを持っておるのでありまするから、これもあながち不法占拠だということは言えません。要するに日本はあくまでも日本の領土だという建前を堅持しておりまして、実際上しばらくソ連による占拠を黙認するというのが現在の状態かと思います。

 

第39回国会 衆議院 予算委員会 第2号 昭和36年10月3日

○横路委員 総理にお尋ねをしますが、西村条約局長の当時の答弁は間違いであるというお話ですが、何も条約局長だけではないのです。これは平和条約及び日米安保条約特別委員会の会議録の第四号、昭和二十六年十月十九日、本委員会におきまして、第五区選出の高倉委員の御質問に答えてのところであります。重ねて私はこの中の点を全体的にちょっと総理にお話しを申し上げたいと思います。当時の吉田総理はこの千島列島の問題と歯舞、色丹の問題を二つに明確に分けて実はお答えをしているわけです。今河野委員からお話がございましたように、もう一度申し上げますが、吉田総理から「千島列島の件につきましては、外務省としては終戦以来研究いたして、日本の見解は米国政府に早くすでに申入れてあります。これは後に政府委員をしてお答えをいたさせますが、その範囲については多分米国政府としては日本政府の主張を入れて、いわゆる千島列島なるものの範囲もきめておろうと思います。しさいのことは政府委員から答弁いたさせます。」こういうので、総理の指名によりまして西村条約局長が答弁をしております。「条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております。しかし南千島と北千島は、歴史的に見てまったくその立場が違うことは、すでに全権がサンフランシスコ会議の演説において明らかにされた通りでございます。あの見解を日本政府としてもまた今後とも堅持して行く方針であるということは、たびたびこの国会において総理から御答弁があった通りであります。」それはそう思います。ところが重ねて高倉委員の質問に答えて、西村条約局長は「平和条約は一九五一年九月に調印いたされたものであります。従ってこの条約にいう千島がいずれの地域をさすかという判定は、現在に立って判定すべきだと考えます。従って先刻申し上げましたように、この条約に千島とあるのは、北千島及び南千島を含む意味であると解釈しております。但し両地域について、歴史的に全然違った事態にあるという政府の考え方は将来もかえませんということを御答弁申し上げた次第であります。」そこで、明らかになるほど総理からお話があったように、当時の吉田総理はサンフランシスコ会議でそういう演説をなさったのでしょうが、それは日本の希望です。日本の希望ですから、先ほどお聞きしていると、総理は、各国の全権が黙っていたから、それは承認したのだろう、こういうお話だが、黙って聞いていたということは、黙殺をされたというようにも解釈されるわけです。そこで西村条約局長は、日本政府としてはそういう考えだが、平和条約にいう千島というのは、北千島及び南千島を含む意味であると解釈するのだ、こういう点を明らかにしたのです。そこで誤解があると困りますから、ここで歯舞、色丹の問題とは別に分けてお話をしています。そこで高倉委員が「過般の講和会議においてダレス全権が、歯舞、色丹諸島は千島列島でない、従ってこれが帰属は、今日の場合国際司法裁判所に提訴する道が開かれておると演説されておるのであります。」一体これはどうなんですかということを吉田総理にお尋ねをしたところが、吉田総理はこの点についてはこう言っているのです。「この問題は、日本政府と総司令部の間にしばしば文書往復を重ねて来ておるので、従って米国政府としても日本政府の主張は明らかであると考えますから、サンフランシスコにおいてはあまりくどく言わなかったのであります。しかし問題の性質は、米国政府はよく了承しておると思います。」従ってまたダレス氏の演説でも特に歯舞、色丹の両島について主張があったものと思います。ここはこうなっているのです。だから歯舞、色丹の帰属の解釈の仕方と、それから政府としては千島列島についてはそういう希望は持っている、そういう解釈の仕方はしている。しかし条約にいう千島列島とは、そこには北千島も南千島も含まれているんだ、こう言っているのです。これは十月二十日、同じくこの条約の特別委員会で草葉政府委員からもこういうように申し上げております。「昨日でありましたか、条約局長から申し上げましたように、現在は千島と申しますと、一帯を千島として総称されておると、一応解釈いたしておる次第であります。」こうなっておるのです。ですから、この点は今総理が、一九五六年の九月の何日ですか、いわゆる日ソ共同宣言の交渉の際におけるアメリカ側の言い分を今さら持ってきて、この条約にいういわゆる千島とはどこか。これはあとに至って解釈をしたのであって、この条約にいう千島と明らかに吉田総理が了解し、そのもとに条約局長がこういう答弁をしているわけです。この点は池田総理がどういうようにここで強弁されようと、それは全く事態を誤るし、しかも条約局長の答弁が間違っておるというような、そういう言い方は私は少なくとも一国の総理としては正しくないと思うのです。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/137

138・池田勇人 (検索語が含まれています。)
○池田国務大臣 今お読みになりましたことを、私は自分でもう一ぺんずっと翫味してお答えする機会があるかもわかりません。今お読みになったことは、私の記憶と合う点が多い。それは吉田さんが言っておられるように、千島のうちには択捉、国後は入らないというお気持がはっきりそのときあったのです。だから、ダレスにそういうことを言われたわけです。南千島とか北千島ではないのです。択捉、国後は、歯舞、色丹と同じように、日本の固有の領土であるということをはっきり口頭で言われております。だから、そこにそういうニュアンスが出ておるわけです、アメリカへ言っておりますと。だから、そのあとにたびたび申しております通りと、こう条約局長が言っておると思うのであります。で、私はそんたくするのに、われわれ南千島とか北千島というものはないのです。私の考えではありません。千島というものは、クーリル・アイランズというものは、今の十八の島を言われておるのでございます。だから、南千島というのはどこから出たことか知りませんが、あれは、私の考えでは千島のうちに中千島、北千島、南千島があろうはずはありません、条約上からも歴史からも。そこで条約局長の言うたことが間違いというのは、平和条約の千島のうちに択捉、国後は含まないのだということは、重光外務大臣等たびたび私は言っておられると思います。しからばどっちがほんとうか、どっちが間違いかということになれば、結論的には、私は今までの歴史から考えて、条約局長の言うのが事実に反しておる。間違いという言葉が悪ければ取りかえますけれども、私の考えからいうと違っております。こういうことを申し上げておる。だから、そういう問題については、私はあのサンフランシスコで吉田さんが苦労されてダレスと話をされたときも知っておりますから、それをもう一ぺん私は読んでみたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/138

139・横路節雄
○横路委員 池田総理にお尋ねいたしますが、池田総理、今あなたがおっしゃった意見は、この十月十九日の特別委員会で、北海道第五区選出の高倉委員から、その点をさらに詳細にお尋ねしておるわけです。今あなたの言ったようにおかしいではないか。これは得撫島から占守島に至る十八の島々、そういうことを言うのじゃないか。それを一体同じように言っておるのはおかしいじゃないか。そこで重ねてこの千島列島というものの翻訳をどういうように考えておるのか、もう一ぺん一つ説明をしていただきたい、こういうことを、今あなたがおっしゃったことは、だれしもがみんな不思議に思ったから聞いたわけです。そうしましたら西村条約局長が重ねて、先ほど言いましたように、この条約に千島とあるのは北千島及び南千島を含む意味であると解釈しております。そうしてその次高倉委員から、歯舞、色丹については、それは千島列島に入るものじゃないのではないか。いわゆる北海道に付属している島嶼ではないか、こういう点が指摘をされて、吉田総理からその通りだ。だから私はアメリカ政府との間に文書交換をもって歯舞、色丹は千島列島には入っていないのだ。こういう点は明確になったんだ。こういうようにはっきりとお答えになっているのです。だからそれは、私は先ほどからのいきさつを聞いて、一九五六年のいわゆる日ソ共同宣言締結に至るときにいろいろないきさつがあって、そしてアメリカの方からいわゆる文書でもって、先ほど外務大臣からお読みになられたように、国後、択捉についてはいわゆる「固有の領土であると解釈さるべきものであると思う。」あそこの文章は非常に微妙なんですよ。固有の領土とは言っていないのです。「固有の領土であると解釈さるべきものであると思う。」こうなっておる。この点はあとのアメリカ側の考え方の違いであって、この条約が調印をされてきて、国会で説明があり、その質問に答えたときは、こういう答えがその当時の国会における答弁なんです。それをこの時点において西村条約局長の答弁は間違いだということは、絶対に総理の答弁はなっていない。今の時点において考えが変わったんだ、アメリカの考えが変わったのだとかいうことを言うならばそれは別でしょうが、この時点において条約局長の答弁がそれは間違いであるということは、私は絶対に言えないと思うのです。関連ですからこれで……。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/139

140・山村新治郎
○山村委員長 横路君に申し上げます。
総理はすでに間違いという言葉が不適当であれば、それは取り消すにやぶさかでないということをおっしゃっておられます。その点は一つ……。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/140

141・池田勇人
○池田国務大臣 まず私は聞かなければならない。南千島ということについての定義をまだ聞いていない。北千島も南千島も千島でありますということ、南千島とは何ぞやということをもう一ぺん検討してみなければならぬと思います。しかしいずれにいたしましても、当時の全権の一人として、首席全権がアメリカに交渉されたことにつきましては、厳然たる事実で、私は記憶いたしておるのであります。択捉、国後は入らない。そうして平和条約の席上、首席全権としての演説にも載っておるわけです。歯舞、色丹はもちろん、択捉、国後というものは、日本の従来からの領土である。これははっきり認めてもらわなければならぬ。事実ですから言っておる。そこで速記のことになってきますが、その速記は、南千島と北千島は一体でありますというときに、南千島というものの定義は私はまだ見ておりませんから、南千島は択捉、国後だということになれば、これは私の考えとは違います。しかし重光外務大臣は、たびたび千島には択捉、国後は含まないのだと言われたことも、これは横路さんも長い間の国会議員だから御存じと思います。そしてこの問題は、そういうように今まで問題があったわけです。しかし私は、そういう問題をずっと考えてみまして、重光さんの方がほんとうである。重光さんの方がほんとうであれば、択捉、国後というものは南千島で、日本が放棄したものに入るという方に解釈した条約局長の解釈はどうかと思います。どっちか事実は一つだ。そういう意味において間違いと申し上げたのですが、違います。重光さんの言っている考え方とは違っております。私の考えとも違っておりますということを申し上げるのであります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/141

142・横路節雄
○横路委員 総理、私はきょうは関連ですからこれで終わりますが、この問題については絶対に私は承服できませんで、いずれ最終質問のときに重ねてお聞きする機会があると思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/142

143・河野密
○河野(密)委員 私は横路君のあれで大体わかったと思うのですけれども、総理もこういうところにあんまりこだわる必要はないではありませんか。こだわる必要はない。実際にこの時分には、もう一ぺん言っても、千島、クーリル・アイランズという中には北千島・中千島、南千島が入りますと、こう言って政府委員が答弁しておるのです。吉田総理の前で答弁さしておる。あなた方がかりにそういうふうな考え方を持っていたとしても、平和条約を締結した時分においては、一般に外務省もあるいは国会におけるところの答弁の衝に当たった者もそうじゃないのだと、皆が千島はみな含むのだということを解釈しておった。その事実を、あなたはここで今になってこれを否定することはできないはずだと思う。それは変わって参りました、われわれは諸般の情勢上そういうことを改めましたというならば、私は実は前からそういう考えを持っておったが、言い出す機会がなかったが、今度それをはっきり申し上げますというならば、これは私は意見として承ってちっとも差しつかえないのです。何もそういうことにこだわる必要はないじゃありませんか。あなた方も実際、ずっと一貫して主張してきたわけではないのだから。最近になって初めて言い出した。あなたも総理大臣になるまでは、この千島の問題なんか言ったことがないのだ。それはいいじゃありませんか。そういうことにこだわる必要はないですよ、ちっとも。私はそういうところはどうも池田さんの悪いくせだと思う。率直に、そういうことは虚心たんかいに考えたらいいじゃないかと思う。私もこれを速記録まで持ち出すつもりはなかったけれども、あなたがあまりにしつこく言うから、私に質問までするから速記録を持ち出したのです。
それでは、おかげで質問するものが半分でおしまいになってしまったのですが、いずれ中国問題とかそういうものはぜひ聞きたいと思うのでありますが、これだけ一つお尋ねをしたいと思うのです。中国代表権の問題について今度国連総会においてどういう態度をおとりになるか。これだけは一つはっきりしておいてほしいと思うのであります。中国問題についてもいろいろ話すと思いますが、第十六国連総会に中国問題に関して二つの案が出ておるわけです。国連憲章第十八条によって重要問題として取り扱うというニュージーランドの案と、それから中国代表権を北京政府に認めようというソ連案と、この二つが明確に出ておるわけです。日本政府はこの二つの案のどちらに賛成するのか、どちらに投票するのか、これを一つ明確にしておいてもらいたい。

第61回国会 参議院 予算委員会 第8号 昭和44年3月8日

○川村清一君 昭和三十一年十一月二十九日、これは日ソ共同宣言の特別委員会のあったころでございますが、参議院外務委員会で自由民主党の梶原茂嘉さんの質問に対しまして、当時下田武三条約局長がこのように答弁しておるわけでございますが、「戦争状態終了後、歯舞、色丹をソ連が引き続き占拠しておることが不法であるかと申しますと、これはこの第九項で、平和条約終了後に引き渡すと、現実の引き渡しが行なわれるということを日本が認めておるのでありまするから、一定の期限後に日本に返還されることを条件として、それまで事実上ソ連がそこを支配することを日本はまあ認めたわけでございまするから、ソ連の引き続き占拠することが不法なりとは、これまた言えない筋合いであると思います。
それから国後、択捉等につきましては、これも日本はすぐ取り返すという主張をやめまして、継続審議で解決するという建前をとっております。従いまして、これにつきましても事実上ソ連が解決がつくまで押えてあるということを、日本は不問に付するという意味合いを持っておるのでありまするから、これもあながち不法占拠だということは言えません。」、これは国会でこういうふうに答弁しておる。一九五六年に日ソ共同宣言が発効されました後の状態なんでございますので、総理のおっしゃっていることは、どうも私には法的な裏づけがない。ただ単なる感情論ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106115261X00819690308/272

273・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) それは日ソ共同宣言の条文といいますか、この文章あるいは交渉の経過を申し上げたのであって、なるほど継続協議ということになっておりますけれども、継続協議を認めたということを中心に当時説明されたのではなかろうかと思いますが、わがほうの主張というものは、当時、あるいはそれ以前から長い間にわたって、条約上、あるいはその他あらゆる点から見て、国後、択捉は固有の領土であるということを主張しておりますし、そのこと自体について条約上その他の根拠はない、これはわれわれの一貫した日本政府の立場であり、また、日本国民全体の私は主張であると思います。
先ほど答弁をし忘れましたけれども、先ほど、アメリカの問題についてはいろいろな発言が行なわれるが、ソ連については大使を呼びましても何の発言もないというような御趣旨のこともございましたが、私はあらためてお願いをいたしたいのでありますけれども、北方領土の問題については、もうほんとうに全国民的な関心をあらためて起こしていただきたい。交渉に当たります私といたしましても、あらためてお願い申し上げる次第であります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106115261X00819690308/273

274・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の発言からだいぶ問題を起こしているようですが、いまの下田君が本会議あるいはその他の委員会で発言したことと私がただいま申したことは次元の違う話でございます。私は、日ソ共同宣言前の状態、これは一体どういうことで起こったか、よもやお忘れじゃないでしょうと、こういうことを申し上げたわけであります。そうして、その状態が続いている。一応日ソ共同宣言によりましてそれに理論づけられたというだけであります。しかし、それでも、国後、択捉についてはまだまだ問題が引き続いていると、こういうことであります。それについて、ソ連は、北方領土問題は解決済みだと、こういうことで応じないので、ここに私は問題があると、かように指摘したいのであります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106115261X00819690308/274

275・川村清一
○川村清一君 私どもも、北方領土はぜひ返してもらわなければならない、こういう願いの上に立っていろいろ質問をしているのであります。ただ、政府が言われるように、非常にむずかしい、厚い壁があると言うから、その壁を破るためには、それはけしからぬけしからぬと言っておって、しかも、これは感情論で言って、一国の総理大臣が国会の本会議においてそういう発言をなされることは、かえって早期返還の方向に水を向けるものではないかと、かように憂慮するがゆえに私は申し上げておるのであって、もっと慎重な発言をしていただかなければならないと、こう考えて私は申し上げておるのでございます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106115261X00819690308/275

276・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) これはよくわかりました。ただいま私の発言がたいへん軽率だと言われますが、ああいうような発言をしないと、なかなかソ連は理解してくれない。このように理解をしてもらいたいがゆえに、私は、相当反省を求めておる、常に反省を求めておる、かように思っております。それこそそれが必要じゃないかと、かように思っております。どうも、話し方が、あるいは川村君の話し方と私の話し方が違うかしれませんが、しかし願いは同じということで御了承を願いたいと思います。

第25回国会 衆議院 日ソ共同宣言等特別委員会 第7号 昭和31年11月25日

○岡田委員 これで終ります。いろいろ伺いたい点もありますけれども、総理大臣もだいぶお疲れのようなので、私はこれでやめますが、どうか共同宣言のあとにおいては、共同宣言で全部完成したのではなくて、日ソの友好関係を、これをきっかけにして確立していくのだ、そういう意味では、日米関係に対しては不平等の関係を改めていく、そうして、ほんとうに世界の平和が実現できるように努力を願いたいし、そういう方向に、総理大臣が引退されても、行かれるように、この機会に、あらゆる努力をお願いしたいと思います。総理大臣もいよいよいわゆる花道を通って引退されるときでありますから、その花を咲かせるという意味においても、今度の日ソ交渉の御労苦に対して、われわれ国民としてその御労苦に感謝すると同時に、今後は、そういう点について、再び、敵対的な関係については、国内においてそういう状態を作らないように、あらゆる努力をされるように、総理大臣でおられる間にそういう国内的な態勢を固められるように一つお願いしたいと思いますが、そういう点について、御所感を承わって、私は最後にいたしたいと思います。

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○鳩山国務大臣 むろん世界の平和政策については努力をするつもりでおります。

○植原委員長 笹本一雄君。

○笹本委員 先日来熱心に審議が続けられておりまするこの委員会におきまして、これは全国民の視聴を集めて、また絶大な関心と議論の的になっておることは、今さら言うまでもありません。そこで委員諸君においてもあらゆる角度から熱心に質問されております。委員長が御心配になっておられたところの重複しないように質問しろというお話でありましたが、どうしても多少重複いたします。私は、五項目にわたって総理大臣及び外務大臣、松本全権、また法務大臣に伺いたいと思っております。時間の関係上、質問を一問一答でいきますと非常に時間がかかりますので、私は五項目全部質問の形式で申し上げます。それに対して懇切な御答弁をお願いしたいと思います。
その第一は、松本全権でありますが、さきに松本・マリク両氏によるところのロンドン交渉から、今次の鳩山総理がみずから乗り込んだモスクワ交渉に至るその間において、内容的に見てどんな進展があったかであります。すなわち、日ソ両国間の正式交渉は、ロンドンにおいて松本・マリク両全権によって始められたのであります。その交渉は会を重ねるに従いまして、次第に行き悩みとなりまして、自然休会ともいうべき先細りになったのでありますが、今度は河野農相の訪ソによる漁業交渉によって、またさらに進んで国交回復に関する交渉が始められ、重光外相の出馬となり、そうして入れかわって、鳩山総理大臣みずから首席全権としてモスクワ入りと展開し、今次の日ソ共同の宣言を見るに至ったのであります。この数次にわたる交渉について国民ひとしく感ずるところは、当初の交渉に比べて、今次の妥結には、果して分がよくあったのであるかどうか、あるとしたならば、どういうところなんであるか、そうして、これはどういうわけでそうなったのであるか、これらについて明快な御説明をいただくことが、最も根本的な第一であるのであります。もとより交渉という以上、相手があるわけでありまして、相手には相手の立場あり、また考えもあり、主張もあるわけでありまして、こちらの主張がすべて百パーセント貫徹することは難事であります。しかし、相手との調和、協調もときには必要でありまするが、通観すれば、日ソ交渉は、ソビエト政府側は断固として一歩も譲らず、日本が譲って、こちらのみがのんだのではないか。さらに交渉に当って、情勢の観察や要因の分析判断に手落ちがあったのではないかという点に、国民感情として割り切れないものがあるのであります。もっとも、総理は満足した交渉ではないが、というお話をしておりましたが、従いまして、当初のロンドン交渉より交渉妥結に至るその間の経過の明快なる御説明を願い、あわせて妥協内容に進展があったかいなかについて、松本全権から簡単に国民を納得させるように御答弁を願いたい。
続いて第二であります。第二点は、さいぜんも議題になっておりましたが、内政不干渉の問題であります。共同宣言の第三項において、はっきりと国内事項に干渉しないと約束してあります。平和と信義とに立って、それぞれの独立国間で内政干渉などは当然あるべきことではないことは、申すまでもありませんが、しかるにこの共同宣言には、内政不干渉を明記してあるのであります。明記してないよりは、ある方がよいというような、いわば相対的な、気休め的なことでは何もならないのであります。確実に有効な対策がなければならないことは、申すまでもありません。この共同覚書にいうところの内政不干渉、言いかえれば排除する干渉とはどういうことを意味するのでありましょうか。たとえば、ソ連が日本国内の特定団体に財政的援助を与えて、政府打倒の運動を助けるとか、日本の選挙に当って、ソ連が特定の政党を勝たせるために資金を供給するとか、あるいはまた、ソ連貿易に従事するところの業者に利益を与えて、禁輸撤廃の対政府工作をさせること等を意味するものであると解されるのであります。政府としては、内政干渉を具体的にどういう意味に解釈されておるか、その所信や対策を明らかにしていただきたいのであります。先ほども委員から話がありましたが、遠く大正十四年のソ連との国交を結んだとき、ヤンソンなる者をソ連は日本に送り込みまして、日本共産党を指導、工作したので、わが国はソ連に対しまして厳重抗議したが、無視黙殺された前例もあるのであります。遠い過去のことはここには申しませんが、かつてはゾルゲ事件があり、最近の事例としましては、ビルマ、スエーデン等でソ連外交官のスパイ事件、国外退去問題などが起っており、またインドネシアなどでも、多数のソ連工作員が活躍しているとも開いているのであります。さらには最近の中欧の事態を見ましても、ソ連は明らかに国内問題に干渉している事実があるのであります。この観点から、私は国内不干渉は当然のことではありますが、果して内政には干渉させないということを政府は保証できるのかどうか、具体的に所信を明らかにしていただきたいのであります。
第三には、第二の内政不干渉とも関越性があるところの治安問題についてであります。わが国は資本主義を骨格とするところの自由主義経済と、民主主義社会に立っている国家であることは、申すまでもありません。これに反しまして、ソ連は共産主義に立つ国家であることも、申すまでもないのでありますが、この国家形成の理念が、それぞれいずれも、これが自国の国民または民族の幸福になるという確信に立っているものであることは当然であります。それぞれの思想、信念によるものであって、いずれが可であると、一律に断ずるわけにはいかないのでありますが、現実の問題といたしましては、わが国においては保守党が国民大多数の支持を得ていることは明らかなことであります。そして穏健妥当な自由主義的民主主義が支配的なの、でありまして、国民の大多数が、この道こそわれらの幸福と発展のゆえんであると信じておるのであります。従って、先日も文部大臣は、小学校におけるところの偏向教育は断じて避けるべきである、あるいは社会主義的教育、共産主義的教育は、学校教育という限りにおいては、当然問題視されねばならないと言ったのでありますが、私もそれには同感であります。この意味において、自由主義国家としてのわが国には、穏健な保守主義が絶対的、支配的なのでありますが、一部には共産主義をもって理想とする向きもあり、失業苦、社会苦に悩む人々のうちに、ややもすればこれに使そうされて、動揺するおそれもないではないのであります。この思想動揺に誘発される社会不安に対するところの方策、換言すれば、自由主義国家としてのわが国の治安に対するところの万遺憾なき対策ができているかどうか。この問題について私は政府の治安対策を具体的に率直にお伺いいたしたいのであります。ただ、一言これにつけ加えておきたいのは、私の質問の精神は、共産主義に対する弾圧政策ではなく、その防禦策としての政府の見解と方策を伺いたいといりにあるのであります。
第四には、賠償問題、であります。日ソ両国は戦争に基因するところの一切の請求権を放棄するという、ここに問題があるのであります。問題のように、第二次大戦の戦況がきわめて不利になってきたとき、わが国は不可侵条約を結んでいたところのソビエトに講和の橋渡しを要請し、ソ連またこれを了としたやに見えたのでありまするが、情勢の機微をつかむや、ソ連は、がぜん豹変して、一方的に不可侵条約を破棄し、宣戦を布告して、宣戦を布告もせぬ日本を攻撃すること一週間、かくて戦勝国という地位に立ったのであります。ソ連はこのわずか一週間の戦いによる戦勝によって何を得たかと申しますると、満州その他から日本の財産と考えられるところの膨大な施設、機械を持ち去り、百数十万の抑留者を拉致し、また民間個人財産をもほとんど根こそぎ没収したのでありました。これらの額は数兆億円にも及ぶ巨額に達するであろうといわれておるのであります。しかも、その上に、ソ連は南樺太、千島列島を手に入れたのであります。わずか一週間の戦争で、ソ連にはほとんど何らの被害損失もないのに、宣戦布告もせぬ一本の失うところのものはあまりに大き過ぎるという感じを国民は抱いているのであります。言いかえれば、ソ連に対して日本国民は強い不満と非難、あるいは理不尽を恨み怒る気持を忘れ切れないのであります。今までは、理屈はともあれ、戦勝国、戦敗国という比重の差から胸をさすってきた国民といたしましては、戦勝、戦敗という地位の差がなくなり、いわば対等の立場に立った今日、賠償を一切打ち切ったということは、国民感情としても割り切れないものがあるのであります。ぜひ国民に納得できるようにはっきりと知らしていただきたいのであります。また私有財産の請求権も放棄した場合には、国はこれに対していかなる処置を考えておられるか。この問題は非常に重大な問題でありまして、交渉に当っても、そのソビエトの交渉に対する度、あるいはまたその考え方等に対して、全権は非常に御苦労されたこととは思いますが、国民といたしますと、どうしてもこの点について納得できない。やはりこういう請求権の問題は一朝にして解決つかないにいたしましても、ここに政府はこれらに関していかにして国民を納得させるかということの説明をしていただきたいと考えます。
最後の第五の質問でありますが、これはもう、今も問題になっておりました、日ソ交渉における最大の問題であるところの領土の問題であります。歯舞、色丹の両島は平和条約が締結すれば日本に返還する、南千島は継続審議とするとありますが、ところで、サンフランシスコ条約で放棄した以外の領土は依然として日本のものと思い信じているのが国民の心情であります。従いまして、領土問題については、ソ連の態度や解釈はあまりに一方的であり、あまりにも理不尽ではないかと思われます。南千島は継続審議になったという政府の御説明であるが、この点は必ずしも明らかでないのであります。南千島は日本固有の領土であるから、必ずやそれを認めるものと国民は了解しておるのでありますが、この強い火のような国民感情と信念を十分銘記せられて、政府におかれては、この機会に国民をしてぜひ納得させていただきたい。
以上五項目に対しまして、総理天臣あるいは外務大臣、松本全権、法務総裁から、私委員に対してでなく、国民に対して、力強く、そうしてはっきりとしたところの答弁をお願いいたしたい次第であります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504957X00719561125/325

326・松本俊一
○松本全権委員 私から、ただいまの笹本さんの質問のうち、第一問につきましてまずお答えをいたしたいと存じます。
私が昨年の六月マリク大使と交渉を開始いたしまして以来本年の鳩山総理の訪ソまでの間、交渉は十数カ月続きましたが、その間最大の問題は最後に御指摘になりました領土問題であります。これはしばらく別といたしまして、というよりも、領土問題につきまして、私もしばしば御説明申し上げましたように、先方は、領土問題、すなわち今度の戦争の結果ソ連が占領した日本の旧領土、つまり日本の南樺太、千島列島、これについてはすでに問題は解決済みであるという態度を終始一貫してとり、これに対して、わが方は、決して解決していないという態度を初めから最後まで持ち続けまして、今後の共同宣言の第九項のような結果に相なったわけであります。
しからば、今度の共同宣言と最初のソ連の態度とどういう左があるかと申しますると、これはいささかあるいは手前みそになるかもわかりませんが、しかしながら、実は最初のソ連の態度は相当強硬でありました。領土の問題につきましては、歯臨、色丹すら、全然これは返還するとか引き渡すとかいうことを拒否いたしておりました。そのほか、サンフランシスコ条約の締結の合成の際に、ソ連のグロムイコ代表が提案いたしました条項のうち、日本の近海における海峡の自由通行権でありますとか、あるいは日本海に通ずる諸海峡の第三国の軍艦に対する閉鎖の問題でありますとか、そういう条項も入れておりました。また日本が過般の太平洋戦争において戦争した一国に対する軍事同盟を禁ずるというような条項も入っておったのでございますが、これらは漸次、交渉の進展につれまして、わが方の主張をいれまして、これを撤回して参りました。また、その間、漁業条約も現実の問題として調印を終ったのであります。また、引揚者の問題、これは私が昨年六月に交渉以来、繰り返し繰り返し交渉をいたしましたのですが、これを一般の問題と切り離して実現するには至りませんでしたけれども、しかしながら、最後の共同宣言の中に、アデナウアーが交渉いたしましたときと違いまして、条文の中に明記することに相なりました。アデナウアーのときは、フルシチョフが口頭でたくさんだと言って明記しなかったのでありまするが、それを明記することになりました。また、通商問題につきましても、議定書ができておりますことは御存じの通りであります。
かようにいたしまして、領土問題以外につきましては、ほぼこの戦争後の問題につきまして解決を見たのでありまするが、しかしながら、領土問題は、交渉の最初から終りまで常にこれがひつかかりまして、双方の見解が対立いたしまして、御承知のような結末に相なっておるのでございます。
これら各事項にわたりましての今度の交渉の初めのソ連の主張と結果の対照を大体申し上げまして、お答えにいたしたいと存じます。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504957X00719561125/326

327・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 第一の御質問は、ただいまの松本君の説明でもって御了解を願いたいと思います。
第二の内政不干渉のことは、ブルガーニンが私に申した言葉は、ソ連としてはイデオロギーを押しつけるというような態度は決してしない、というのは、つまり共産主義を日本に宣伝をして、日本の共産主義者を作るというような意味は決してしないということを言いましたのが、内政不干渉という題目に出てきたものと私は考えております。
それから、第三の治安の問題は、共産主義と資本主義というのは、これは全然違う主義なんです。これは御承知の通りで、自由主義を理想とする個人主義的なものと全体主義と対立しておるのであります。これはまるで違うのでありますが、その治安の対策をどうするのかという御質問でございました。治安の対策は、とにかく国際共産主義をソ連が宣伝したこともあるのでありますから、そういうようなことがある以上は、日本としても情報機関だとか何かをやはり充実いたしまして、イデオロギーを押しつけるということのないように警告もしなくちゃならない関係もありまして、日本でもやはり治安の維持に対しては相当にその機関を充実する必要があるのだろうと考えております。
第四の、一週間内に戦争をしてソ連は取るものが多過ぎる、それに対して請求権の放棄だけでは満足ができないというようなお話でありますが、そういう論は成り立つでございましょう。けれども、現在の置かれておる日本の地位としては、これ以上のことを要求することは無理だと私は考えました。
第五の領土問題は、ただいま松本君の説明で大体御承知と思いますが、私は、領土問題というものを両方の係争事件の唯一のものとして交渉すれば、松本君がソ連との交渉不調和に終っても、それから重光君の前例にかんがみましても、領土問題だけを問題とすることはどうしても日ソの国交回復には害があると思いまして、それでこれはあと回し、すなわち継続審議にすることを有利だと考えまして、継続審議にしまして、今度の議定書を作っておるわけであります。

第25回国会 衆議院 日ソ共同宣言等特別委員会 第7号 昭和31年11月25日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム シンプル表示

 

第39回国会 衆議院 予算委員会 第2号 昭和36年10月3日

○野田(卯)委員 次に北方領土の問題等に触れたいと思いますが、去る九月二十九日、ソ連政府から手交されました、池田総理の返書に対するフルシチョフ総理大臣の回答及び日本の核実験への抗議に対する回答に関しまして、政府の見解をただしたいと思います。
右の回答において、フルシチョフ首相は、領土問題は一連の国際諸協定によってすでに解決されておるにかかわらず、貴下がこの問題を持ち出されることは、日ソ関係の完全な正常化の途上に人為的障壁を作ろうとしているとの感がある、こう言っておるのであります。私どもは南千島は日本固有の領土であることを主張して参りましたし、またこれを主張する幾多の根拠を持っておるのでございます心また過去の国際語協定においてもこの問題は解決されておりません。従いまして、このフルシチョフ首相の言葉はまことに大いなる暴言であると言わざるを得ないと存ずるのでございます。この回答に対しまして、総理大臣の御見解を承りたい。なおこの返書に関して今後何らかの措置をとられんとするか、あわせてお尋ねをする次第であります。

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013・池田勇人
○池田国務大臣 北方領土の問題に対しまして、フルシチョフ氏がああいう回答をしてきたことは、事実を無視した暴論である、私は絶対にこれに承服するわけには参りません。お話しの通り、幕府時代の日露条約にいたしましても、また明治八年の南樺太、千島の交換の場合におきましても、千島とは得撫島以北十八の島をさすことに国際的になっておるわけでございます。クーリル・アイランズとは、得撫島以北十八島になっておるわけでございます。だからそれに含まない択捉、国後、歯舞、色丹は、当然これは日本固有の領土であります。カイロ宣言を受けましたポツダム条約をわれわれは受諾いたしたのでございますが、カイロ宣言には、やはり固有の領土を侵害するものではないということをはっきりきめてある。そしてヤルタ協定をソ連は持ち出しておりまするが、アメリカにおきましても、これを今では否認する気持になっておる。また先般日ソ共同宣言のときも、アメリカにおきましては択捉、国後は日本の固有の領土であるということを言っておるのであります。これは国際的にも認められておる。しかもサンフランシスコ条約に調印しないソ連が、サンフランシスコ条約で得撫島以北のクーリル・アイランズを放棄したものを、自分の方に放棄したということを言うのは、これはとんでもない矛盾撞着であると私は考えます。その後におきましても松本全権が、領土問題は平和条約のときに話をする、こういうグロムイコとの協定があるのであります。私はこういう事実から申しまして、われわれの主張は絶対に歴史的にも国際的にも正しいと考えておるのであります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/13

014・野田卯一
○野田(卯)委員 それで、この間のあの暴言に対しまして、総理大臣は今後何らかの措置をとられるかどうか、その点についてお伺いしたいと同時に、さらにまた核兵器実験再開に関する抗議につきましては、この抗議が世界全人類の悲願を背景としておるものであるにかかわらず、ことさらに焦点をぼかして、顧みて他を言うような不誠意に満ちた回答を出しておるのでありますが、これは平和を愛する国民に対する重大な侮辱とも解すべきものであると私は考えるのであります。これに対しましては、あくまでも目的貫徹のために今後必要なる措置をとるべきであると思いますが、総理大臣のお考えを伺いたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103905261X00219611003/14

015・池田勇人
○池田国務大臣 北方問題についてのフルシチョフ氏の回答は、ミコヤン氏が来られたときの親書に対する私の回答と、そうして核実験開始に対しまする私の抗議と、この二つあったのでございまするが、ソ連におきましては、前の私に対する書簡に対する私の回答は発表しておりませんです。そうして核兵器に対する抗議が行きまして、それを二つ一緒にして発表してあるわけであります。だから私はそういう経過から申しまして、今の北方問題につきましてまた再び抗議をすることは、かいないことだとただいまのところ考えております。適当な機会に、また私は北方問題については意見を言うつもりであります。
核兵器の実験に対しましての向こうの回答は、お話しの通りに顧みて他を言うことでございます。私はこの問題につきましては、国連におきましてこれを持ち出して、しかも一番従来から関心を持っておるわが国でございます。国連におきまして、はっきりわれわれの意向を申し述べて、そうしてこれに列国の共同歩調を得るようにいたしたいと思っております。先般も申し上げましたが、列国議会同盟におきましては、わが方より持ち出しまして、絶対多数で議決をした状況であるのであります。

第56回国会 衆議院 外務委員会 第2号 昭和42年9月4日

○三木国務大臣

私はこのようにとったわけであります。

現在、日ソの共同宣言によって国交が開かれておる。

しかし、平和条約というものになってくるとなかなか困難な問題がたくさんあって、どのようにこれはアプローチするかということが、日ソ両国ともなかなかいまこうだと言い切れないような状態なので、何かこう平和条約に至らなくても、その共同宣言——共同宣言は現にあるのですから、平和条約に至らなくても、中間的な措置というものを何か研究することも考えられぬだろうかという提案でございますから、何かこう、いまの共同宣言と平和条約に至る中間的なものというふうに私はとったわけでございます。

○渡部委員

そうしますと、先ほどモスクワ放送の件がございましたけれども、モスクワ放送では、領土に関する日本の要求というものは取り上げられないというような姿勢が表明されておりますけれども、これに関しては、そういう事実にもかかわらず、領土問題についての一歩前進が行なわれるとお考えになっておられますか。その辺をお伺いします。

○三木国務大臣

前進かどうかという評価は、これはわかりません。

しかし、外交機関を通じて話し合ってみようということでありますので、これが一体前進になるかどうかということは今後の問題でありますが、まあ何か外交機関を通じて検討しようではないかということに私は賛成をして、そしていま検討を加えておるわけでありますので、これは前進かどうかという評価は、結果を見なければわかりませんが、とにかくまあ話し合ってみようという糸口ができたことは事実でありますので、その糸口ができた事実の上に立って、外交機関を通じて話し合ってみたい。その結果非常な前進かどうかというようなことは、今日まだそういうことは言えない段階であると思います。

○渡部委員

今回このような動きがあった後、これは新聞社の報道でありますけれども、ワシントンからの報道として、今回のコスイギン発言については、アメリカ側としては、ソ連がことさらにあいまいな表現を使っているという事実、また従来ロシヤ政府ないしソ連政府というものが領土を返還したという事実が全くないという事実等をあげて、要するに、日本の沖繩、小笠原の施政権返還要求をこの際あおり立てて、そうして北方領土問題を進めた印象を与えることによって、日本人の親ソ感情をわき立たせ、アメリカを困らせようという一石二鳥をねらったものだ、そういうようにアメリカ政府筋が警告しておる、こういう報道が行なわれております。

私は、この報道の真偽についてはこれを問うものではございませんけれども、事実ソ連の交渉というものがこういう次元において考えられることも十分予想されるのではないかと日本国民の一人として考えるのであります。

したがいまして、私は、この北方領土の返還の問題に関する交渉というものは、おそらくは十一月ごろからと予定されているようなお話でございますけれども、もしこういう含みをソ連政府が持っておるものならば、むしろそのほんとうの真意が沖繩の返還を側面からあおり立てるために計画されておるものだとするならば、かえって沖繩の交渉よりも先立たせることによって、ソ連政府の態度をより明らかにすることができるのではないか、私はかように存ずるのでございます。

この辺について、もちろん外相としては見通しも立てられていることであろうとは思いますけれども、こういう問題に関する見解についてひとつ伺っておきたいと思います。

○三木国務大臣

私は、北方領土は北方領土、沖繩問題は沖繩問題、この問題の両者の間に関連性を持たしては考えておりません。

○渡部委員

それはちょっとおかしいのじゃないかと私は思います。

外交交渉が、外相がおっしゃいますように単一に一国ずつを相手にして行なわれるものだとは私は思いませんし、密接な関連性と、そうして密接な連関を持って行なわれるものであるということは、前々から外相が何回もここでおっしゃっていることでございます。

私は、いまそういう立場でしかお返事ができないであろうことは、当面予想されることでもございます。ですから、私はあえてそれ以上の御返答は求めるものじゃありませんけれども、少なくともそういうような一番幼稚なグレードでのお話をなさる必要はないのではないか、それはもう外交的常識の問題ではなかろうかと思うのであります。

私は、別の問題に移りたいと思うのですけれども、日本政府といたしましては、過去に非常に問題になっているのは、条約にある千島列島の範囲について、何回も当国会において議論が行なわれております。

千島はサンフランシスコ平和条約においてこれを放棄したということになっておるそうでありますけれども、昭和二十六年十月十九日、当時の吉田総理大臣は、千島列島の範囲については終戦以来研究してきめておる、そして、西村条約局長をしてこの返事をせしめておりますが、その条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含む、こういうふうに当時の条約局長は返事をしているわけでございます。

ところが、池田内閣総理大臣に至りますや、これは条約局長の言うたことは間違いである。

「千島のうちに中千島、北千島、南千島があろうはずはありません、条約上からも歴史からも。そこで条約局長の言うたことが間違いというのは、平和条約の千島のうちに択捉、国後は含まないのだということは、重光外務大臣等たびたび私は言っておられると思います。しからばどっちがほんとうか、どっちが間違いかということになれば、結論的には、私はいままでの歴史から考えて、条約局長の言うのが事実に反しておる。」

こういうふうに日本を代表する二人の総理大臣の見解は相反しておるわけであります。

私は、こういうような総理大臣お二人がまっ二つになって意見の分かれた問題について、ここで三木外務大臣に軍配を上げさすのは非常に酷だとは思います。

しかしながら、現実の対ソ交渉の締めくくりをする現段階になりまして、佐藤内閣また三木外相がこの問題を扱われるに際しましては、これに対する見解を明らかにせられなければぐあいが悪いのじゃないかと思います。

したがいまして、千島の範囲というものはどのようなものか、そしてこれに対してはどう考えられるか。平和条約において明確に放棄をされた千島列島の範囲について、外相の見解を伺いたいと思います。

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○三木国務大臣 私はこういうふうに考えております。

日本が放棄した千島の中には歯舞、色丹はもちろんのこと、択捉、国後も入ってない、こういう解釈でございます。

それと、最初の沖繩と北方領土の問題ですが、これはソ連がどういう意図であろうか、ワシントンの電報をお読み上げになったのですけれども、そのワシントンの解釈も、それは政府筋の解釈ではないでしょうし、いろいろな憶測があると思います。

しかし、私は、ソ連がどういう意図であったろうかというようなことをいま揣摩憶測したくない。

コスイギンの提案を額面どおりに受け取って、そして外交のルートで検討を進めたいと思っておるわけでございます。

したがって、私自身としては、沖繩とこの北方領土とをからましては考えていない。

コスイギンの発言をそのまますなおに受け取って、その上に乗って外交折衝をしたいと考えておるわけでございます。

 

○渡部委員

私は、両者を無理やりからませろと言っているのではなくて、そういうことが予想される外交交渉の段階なんだから、それについて弁解することよりも、むしろ大事なのは、そういうことも含んで、引っかからないようにしていただきたいということを外相に申し上げているわけです。

それから、千島の問題については、吉田総理大臣当時、千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと言われた問題が、今日そのように変転しても、まるっきり解釈と違った路線に変わったとしても、それは外交交渉上成立し得るものかどうか、私はその辺についてはっきりしていただきたいと思います。

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○三木国務大臣

それは、今後成立するかどうかという問題については、今後の折衝に待たなければなりませんが、政府の解釈はかように解釈している。こういう政府の解釈の上に立ってソ連とも話し合いをするんだと申し上げておるのでございます。

 

○渡部委員

それでは、私は、それに関する政府の解釈、むしろ政府の主張というものがこういう路線であることは了解いたしましたけれども、少なくとも、平和条約が結ばれた当時はこういう解釈であった。

この解釈については、おそらくはアメリカとも合議の上でこのような弁明が行なわれていると思うのです。

そうしますと、このサンフランシスコ講和条約の第二条の(c)項による千島列島の主権の放棄の問題に関しては、これについて議論が進められる場合には、きわめて容易ならざる返答を要するであろうと私は思うのであります。

したがいまして、十分な御検討を願いたい。

少なくとも、この場所で言われた程度のお答えであるならば、これは外交交渉においては非常にぐあいが悪いのではないか。

これは私たち日本人としての大きな心配の種でありますがゆえに、あえて指摘して申し上げたいと思うのであります。

それから第二番目に、今度は沖繩の問題でありますが、このたび沖繩に同僚議員多数行かれまして、いろいろな問題について明らかにされた点につきましては非常に喜ぶものであります。しかし、総理が今度の記者会見でいろいろと御説明になっておりますことのうち、核基地問題についての構想について、非常に私は危惧の念を持っておる一人であります。それはなぜかといいますと、下田構想は一応は否定されたごとくでありますが、そのあと、場合によっては核基地つきの返還も考えますかという問いに対して、これは一番むずかしい点である。さらに進みまして、沖繩問題の中核をなす問題である核基地を持つのか持たないのかという三度にわたる質問に対しては、今度はそれを否定しようとはなさいませんで、検討の中に入れるというような意味合いの御返事がありました。総理は、この際国民的合意が得られるならば、最善の策でなくても次善の策でもやむを得ない、また何をかいわんやであるという表現で言われました。私はこの意見を伺っておりまして、実は非常に怪しげな御返事のしかたであるという印象をぬぐえないのであります。少なくとも、沖繩を日本に返還するにあたりまして、核基地を持たないようにしたいというのは、まさに国民的合意の結晶だと私は思います。また、核というものについては、日本は核兵器使用の違法性についてはさらに主張すべきものでありまして、昭和三十八年の東京地裁の判決文におきましても、広島、長崎原爆判決文を引用いたしまして、広島、長崎両市に対する原子爆弾の投下行為は国際法に違反するものである、このような主張すら行なわれております。これは地裁の判決であります。私は、こういうような見解が出てくるゆえんというものは、核に対する、核兵器に対する国民的な怒りと、そうして、絶対平和を達成して世界の戦乱を食いとめなければならぬという、日本民族の平和、文化国家に対する強い要請があるものであると感ずるのであります。もしも総理がこのような国民的な世論を背景にして立たれるのであるならば、沖繩問題の基本方向について、少なくとも核の問題だけについては、私はこういう見解であるということだけでも述べるべきではなかったか。外交交渉の通例として、言わない外交、秘密外交というものが予想されるということも十分考えられますけれども、少なくとも核兵器については私は持ち込まさない、核基地の撤廃だけは私は断固主張するつもりであるけれども、国民の皆さんいかがですか、あるいは核基地についてはやむを得ぬからこれは引き取ることにすると主張するか、その点だけについても国民の前にもっとフランクにこの事態を説明して、その見解を明らかにして、そうして大きな世論の背景をもって交渉するのが当然ではなかろうか。特に沖繩の返還の問題については、諸外国から領土返還を要求した際において、それこそ、まさに燃え上がるような国民的な背景がなければ、このような領土問題の解決はうまくいったためしがいまだかつてない。わずかにアラスカ等においてこれが売り渡された例があるのみである。こんな自国の領土を取られて取り返す際に、かくのごとく世論の動向というものを放置しておいて交渉ができるものではないと私はかえって思うのであります。したがいまして、私がここで長時間の演説をぶつようで恐縮ではありますけれども、外務大臣に対して私要望したいことは、先ほどから政府の統一方針として、下田発言についてはこれは政府の統一見解ではないと再々説明をされました。私は、一歩進んで、核基地つき返還の問題についてはこれをとらないということを明確にしていただくか、そうでない方針があるならば、その基本方向について明らかにしていただくか、私は国民の名において要望したい、このように思うのであります。

○三木国務大臣

総理がいろいろ慎重にこの問題を検討されて、私もそういうふうに思うのですが、あの段階で政府がこういう方針だということを述べる適当な機会ではない、世論の動向に対しても、きわめて鋭敏にその動向というものを総理は観察をいたしておるわけでありますから、したがって、国民的な世論の動向がどういう方向にあるかということは十分に知っておるわけであります。

ただ、この機会に、こうだとあの方針というものをきめる場合には、いろんなことが——たとえば私が今回訪米してアメリカの首脳部と話をするということも、総理が腹をきめる場合においては何らかの参考になることは明らかでありますし、また沖繩問題の懇談会、これはきめる機関ではないと言いますが、あれだけの学識経験者といわれる人々が寄って熱心にやっているわけですから、そういう意見もこれは参考にすべきでありましょうし、あの場合に、いろんな内容についていろいろ申し上げることは適当でないという、私も同じような判断であります。

したがって、これは十分に国内の動向、世論の動向というものを考えながら、この問題が日米間の友好関係をさらに深めていくというような方向で解決できますように、われわれとしても十分な総理の補佐をいたすつもりでございます。

 

2006年2月15日提出

 

第164回国会 73 千島列島の範囲に関する質問主意書

平成十八年二月十五日提出
質問第七三号

千島列島の範囲に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男

 


千島列島の範囲に関する質問主意書

一 昭和二十六年十月十九日の衆議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会において衆議院議員高倉定助君が平和条約に規定された「クリル・アイランド、いわゆるクリル群島」の範囲に関して質問したのに対し、吉田茂総理は「多分米国政府としては日本政府の主張を入れて、いわゆる千島列島なるものの範囲もきめておろうと思います」と答弁しているが、これは政府の立場を正確に反映したものか。

二 一の吉田茂総理の答弁に引き続き、西村熊雄外務省条約局長は「(サンフランシスコ平和)条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております。しかし南千島と北千島は、歴史的に見てまったくその立場が違うことは、すでに全権がサンフランシスコ会議の演説において明らかにされた通りでございます。(中略)なお歯舞と色丹島が千島に含まれないことは、アメリカ外務当局も明言されました」と答弁したが、この答弁は政府がこの時点においては国後島、択捉島がサンフランシスコ平和条約で放棄された千島列島に含まれるものと認識していたと解してよいか。

三 二の西村熊雄外務省条約局長の答弁は現時点での政府の立場を正確に反映しているか。反映していないとするならば、政府はどの時点で方針を転換したか。

四 政府は平成十七年十月二十一日付答弁書(内閣衆質一六三第一六号)において、一九九二年九月に発表された「「日露間領土問題の歴史に関する日本国外務省とロシア連邦外務省の共同作成資料集」(以下、「共同作成資料集」という)は、我が国及びロシア連邦の国民が、両国間の領土問題を正しく理解するための一助として、両国の外務省が共同で作成したものであり、重要な資料集であると考えている」と答弁しているが、右認識は現時点でも変化していないか。

五 「共同作成資料集」の序文で「サン・フランシスコ条約で日本が放棄したクリル諸島の範囲について」言及した資料のひとつとして「日本の国会における西村条約局長の答弁(一九五一年十月十九日)」と明記しているが、この答弁とは具体的に二の答弁を指すと解してよいか。

六 政府は二の西村熊雄条約局長答弁を「我が国及びロシア連邦の国民が、両国間の領土問題を正しく理解するための一助」となる資料と考えているのか。

右質問する。

 


平成十八年二月二十四日受領
答弁第七三号

内閣衆質一六四第七三号
平成十八年二月二十四日

内閣総理大臣 小泉純一郎

衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出千島列島の範囲に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 


衆議院議員鈴木宗男君提出千島列島の範囲に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)にいう千島列島とは、我が国がロシアとの間に結んだ千八百五十五年の日魯通好条約及び千八百七十五年の樺太・千島交換条約からも明らかなように、ウルップ島以北の島々を指すものであり、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島は含まれていない。国後、択捉の両島につき「南千島」ないし「千島南部」と言及した例が見られることと、千島列島の範囲との関係について述べれば、例えば、昭和三十一年二月十一日の政府統一見解において、これらの両島が、樺太・千島交換条約に基づく交換の対象たる千島として取り扱われなかったこと、及びサンフランシスコ平和条約にいう千島列島に含まれないことを確認している。

四について

御指摘の衆議院議員鈴木宗男君提出外務省作成冊子『われらの北方領土―二〇〇四年版―』における重要事項の削除に関する質問に対する答弁書(平成十七年十月二十一日内閣衆質一六三第一六号)の十四及び十五についてで述べたとおり、「日露間領土問題の歴史に関する日本国外務省とロシア連邦外務省の共同作成資料集」は、我が国及びロシア連邦の国民が両国間の領土問題を正しく理解するための一助として、両国の外務省が共同で作成したものであり、重要な資料集であると考えている。

五について

お尋ねの答弁は、昭和二十六年十月十九日の衆議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会における西村熊雄政府委員(外務省条約局長)の答弁である。

六について

事実関係を掲載したものである。

 

 

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