円運動
等速な直線運動の場合は物体に力が加わっていない状態ですが、等速な円運動では軌道円の中心方向に力(向心力)が常に一定にかかっているため、向きが変わり続けます。
月は地球の引力(向心力)により落下し続けていますが、遠心力と釣り合っているため地球と同じ距離を保っています。
非相対論的力学(古典力学)
速度v
$$ 速度v = rω $$
v:速さ[m/s]
r:半径[m]
ω:角速度
加速度a
物体に力が加わると速度が変化しますが、その増加率は加えられる力Fの大きさに比例し、物体の質量mに反比例します(運動の第二法則)。
運動する物体は、次の運動方程式で表されます。
$$ 加速度a= \frac{F}{m} $$
物体は同じ運動状態を保とうとする慣性の性質があるため、質量が大きくなるほど加速に必要な力が大きくなります。
等速円運動の加速度a
また、等速円運動をするときにかかる向心力の加速度は
$$ 加速度a =vω $$
v:速さ[m/s] (1秒間に弧の上を進む距離)
ω:角速度(円の上を1秒間に進む角度の割合)
$$ a=vω=rω^2=\frac{v^2}{r} $$
と変換できます。
で表されます。

これらから、等速な円運動をする物体にかかる向心力は
$$ F =ma=mvω $$
となります。
サイクロトロン運動
荷電粒子が磁場の中へ垂直に飛び込むと、荷電粒子に対してローレンツ力がかかり、等速な円運動をします(サイクロトロン運動)。
ローレンツ力(電磁力学)
磁場の中にある荷電粒子にはローレンツ力がかかります。(正か負かの極性によって力の向きが逆になります。)

また、電荷粒子が磁場に対して垂直に飛び込んだ場合、速度と垂直な向きにローレンツ力を受け、これが向心力となり等速円運動をします。


その力の大きさは
$$ ローレンツ力F = qvB $$
q:電荷[C]=[A・s]
v:速さ[m/s]
B:磁束密度[Wb/m2]=[N/(A・m)]
となります。
サイクロトロン運動の式
サイクロトロン運動の向心力は
非相対論的力学(古典力学)で
$$ F =mvω $$
ローレンツ力で
$$ F= qvB $$
となります。
よって
$$ mvω=qvB $$
となります。
電子の円運動
クーロン力(電磁力学)
原子中の電子は原子核からのクーロン力で引き寄せられ、これが向心力となります。
$$ F= \frac{1}{4πε_0}・\frac{Ze^2}{r^2} $$
電子の円運動の式
円運動する電子の向心力は
非相対論的力学(古典力学)で
$$ F =mvω $$
クーロン力で
$$ F= \frac{1}{4πε_0}・\frac{Ze・e}{r^2} $$
となります。
よって
$$ mvω=\frac{1}{4πε_0}・\frac{Ze・e}{r^2} $$
となります。
コメント