結合エネルギーの飽和性・質量欠損

質量欠損

複数の核子が結合すると、核力が生まれることで安定するため、余分なエネルギーを放出します。

その結果、放出したエネルギーの分だけ元の粒子の質量の合計より質量が軽くなります(エネルギーと質量は等価)。

これを質量欠損と呼びます。

例えば、2つの重水素(陽子1つと中性子1つで構成される)から核融合を起こして1つのヘリウムを生成すると、核融合前の質量が4.03[u]であるのに、核融合後の質量は4.00[u]に減少します。

この質量の差がエネルギーとして放出されます。

重水素の質量欠損

陽子+中性子 > 陽子+陽子 > 重水素(陽子+中性子-質量欠損)

2.0159[u] > 2.0146[u] > 2.0141[u]

結合エネルギーの飽和性

質量欠損の大きさが核子の結合の強さの度合いを表します。

原子核の質量を測り、1核子あたりの結合エネルギーを測定したものが下図に示されています。

この図から分かるように、質量数が小さい原子核においては値にばらつきがありますが、質量数が20を超えると1核子あたりの結合エネルギーは約8MeVで一定となります(結合エネルギーの飽和性)。

核融合で質量欠損が起きるのは鉄(A=56付近)までで、それより重い元素では逆に核分裂したときの方が質量が減少します。これは核分裂でエネルギーを取り出す原子力発電に使われます。

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