縦磁化・横磁化

緩和とは平衡状態に戻ることを意味し、縦緩和とは90°パルスによって直交面に倒された磁化が徐々に静磁場の方向に戻る過程である。

つまり、最初0だった縦磁化が上昇し平衡値に達することで、平衡値はスピンの数や温度、磁場強度によって決まる量である。

これはT1緩和やスピン-格子緩和とも呼ばれている。

 

横緩和とは先のFID信号のことで、時間とともに横磁化(静磁場に対し直交した磁化)が減衰することである。

緩和時間は横緩和より縦緩和の方が大きい(たかだか同じ)。

これは静磁場の不均一性が主な原因で、個々のスピンが受ける磁場が同一でないため、スピン間で回転速度のずれが生じ、スピンの向きに広がりが生じ全体としての横磁化が小さくなるためである(dephasing)。

この磁場の不均一性は外部からの静磁場のみによるものだけでなく、各スピン間の相互作用等により非常に微視的な領域においても生じている。

後者のみによる横緩和時間というのは、物質固有の物理特性を表現し、重要なパラメータである。これをT2緩和あるいはスピン-スピン緩和という。

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