外部からの光のエネルギーは、電子が金属表面から解放されるために必要な最低エネルギーを超える必要があります。内殻電子は、外部からの光が与えるエネルギーが充分に大きく、金属表面から解放されるために必要なエネルギーを超える場合、その光を吸収し、電子が放出される可能性が高くなります。
光電効果は、物質中の電子が光子(光の量子)によって励起され、光子のエネルギーが電子の運動エネルギーに変換されることで起こります。自由電子には束縛がないため、光子のエネルギーが直接電子の運動エネルギーに変換されることがありません。
光電効果には最低限必要な光子のエネルギーがあります。
閾エネルギーを下回る光子の場合、光電子は放出されず、光電効果は起こりません。
光電効果が起こる最小のエネルギーを仕事関数と呼びます。
金属表面のような物質において、光子エネルギーが数百eV程度の場合、光電効果の断面積は非常に小さく、光子は表面で反射されることが多くなります。一方、光子エネルギーが1keV程度になると、物質中の電子の束縛エネルギーを超えることができるため、光子が電子を放出することがより起こりやすくなります。このため、1keVの光子エネルギーで最も光電効果の断面積が大きくなることがあります。
金属内の自由電子は、金属陽イオンからクーロン力を受けていますから、この電子が金属の外に飛び出すには、仕事が必要なはずです。
この仕事の最小値Wは、仕事関数と呼ばれ、これも金属ごとに決まっています。光電効果は、光が電子にWを超えるエネルギーを与えることで起こる現象です。
光子が吸収されるときのエネルギーは、一般的な場合にはアインシュタインの方程式と呼ばれる次の方程式で表現できる。
$$ hν =P_{1}+P_{2}+W $$
ここで P1 は電子を原子から引き離すエネルギー(イオン化エネルギー)、P2 は物体表面から電子を飛び出させる仕事、Wは解放された光電子の運動エネルギーである。金属の特徴として、その中に多量の自由電子を有している。自由電子はすでに原子から離れて、金属内を自由に運動しているので金属に対して P1 = 0 と考えることができる。そのかわり、金属表面から電子が飛び出すためには、金属内部に閉じ込められている場に打ち勝たねばならない。これに打ち勝つために費やす仕事が仕事関数 P2 である。金属の場合、アインシュタインの方程式は次のようになる。
$$ hν =P_{2}+W $$
もし、hν < P2 ならば電子は金属表面から飛び出せず、光電効果は起こらない。これはある最小の振動数、ν0 があり、ν0 では光電効果を起こすことができるが、それ以下の振動数では光電効果を観測できない。なお、仕事関数は熱電子に関する実験から求めることができる。
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