反応前と反応後の質量の差をエネルギーに換算します。
2H+n=3H+γ
なので、質量の差は
γ=2H+n-3H
=1.00866u+2.01410u-3.01605u
=0.00671u
1u=932[MeV/c2]
と
$$ 全エネルギーE=mc^2 $$
m:質量
c:光速
より、
E=0.00671・932[MeV/c2]×c2
=6.25[MeV]
分裂した2つの原子核は正反対方向に進みます。
この場合では物体に作用反作用の力(内力)しか働かないため、運動量が保存されます。
また、非相対論的に考えて良いので、相対論的な補正は必要ありません(古典力学)。
運動量保存則は次の式が成り立ちます。
$$ M_a・V_a=M_b・V_b $$
M:質量
V:速度
運動する物体の運動エネルギーは次の式です。
$$ 運動エネルギーK=\frac{1}{2}mv^2 $$
\begin{align}
\dfrac{E_a}{E_b} &= \dfrac{\frac{1}{2}M_aV_a^2}{ \frac{1}{2}M_bV_b^2} \\
&= \dfrac{M_aV_a^2}{M_bV_b^2} \\
\end{align}
両辺に\( \dfrac{M_b}{M_a}・\dfrac{M_a}{M_b} \)(=1)をかけて
$$
\begin{align}
\dfrac{E_a}{E_b} ・1&= \dfrac{M_b}{M_a}・\dfrac{M_a}{M_b}×\dfrac{M_aV_a^2}{ M_bV_b^2} \\
&= \dfrac{M_b}{M_a}×\dfrac{M_a^2V_a^2}{ M_b^2V_b^2} \\
&= \dfrac{M_b}{M_a} \\
\end{align}
$$
7Be:53 d、478 keV
54Mn:312 d、835 keV
57Co:271 d、122 keV
58Co:71 d、811 keV、511 keV(消滅γ線)
屈折率nの媒質中での光速はc/n(cは真空中の光速度)になるため、高エネルギーの荷電粒子がこれより速く媒質中を進むと、荷電粒子周囲の電磁場が後に取り残され、波面が重なって衝撃波(チェレンコフ光)を生じます。
チェレンコフ光を発生させる最小エネルギーをもつ電子の速さ(v)は、ガラス中の光の速さ (c/n)と等しい。
この時の(相対論的)運動エネルギーは次の式で表します。
$$
K = \dfrac{m_0c^2}{\sqrt{1-\left(\dfrac{v}{c}\right)^2}} -m_0c^2
$$
より
\begin{align}
K &= \dfrac{m_0c^2}{\sqrt{1-\left(\dfrac{\frac{c}{n}}{c}\right)^2}}-m_0c^2\\
&= \dfrac{m_0c^2}{\sqrt{1-\left(\dfrac{1}{n}\right)^2}}-m_0c^2\\
\end{align}
なので
\begin{align}
K &= \dfrac{0.511}{\sqrt{1-\left(\dfrac{1}{1.5}\right)^2}}-0.511\\
&\unicode{x2252} 0.175 [MeV]\\
\end{align}
平方根の近似を使いました。
A
気体のイオン化エネルギーが大きくなるとW値も大きくなる。希ガスでは原子番号が大きくなるに従いイオン化エネルギーが小さくなる。このためW値は原子番号が大きくなるに従い小さくなる。
B
W値は30eV程度であり、気体のイオン化エネルギー(〜10 eV)より大きい。
C
W値は入射エネルギーによらず、ほとんど一定の値をもつ。
D
ヘリウムのW値(42eV)は空気のW値(34eV)より大きい。
1
光電効果では、γ線が軌道電子に吸収されるが、光子の運動量の一部が原子核に与えられて運動量が保存する。このため、原子核との結合が強い内殻の電子の方が光電効果を起こす確率が大きい。
2
γ線が自由電子に吸収され光電効果を起こす場合、運動量とエネルギー保存を同時に満たさないため、光電効果は自由電子に対しては起きない。
3
コンプトン散乱の原子断面積は原子番号に比例する。
4
電子対生成の断面積は、ほぼ原子番号の2乗に比例する。
5
原子核中の核子1個あたりの結合エネルギーはおよそ8MeVであり、1MeVの光子では核子を原子核から取り出せないため、光核反応により中性子を放出させることはできない。
微小距離を光子が進んだとき、光子フルエンスとエネルギーフルエンスの減少は、それぞれ光子フルエンスとエネルギーフルエンスに比例し、この時の比例定数をそれぞれ線減弱係数と線エネルギー転移係数という。
A
エネルギー転移では、光子のエネルギーが電子に与えられるが、電子対生成では生成した陽電子の対消滅γ線は物質外に放出され、対消滅γ線のエネルギーは物質中の 電子には転移しないので2つの係数が異なる要員となり、A は正しい。
B
コンプトン散乱光子も物質外に放出されるので、同様にBも正しい。
C
軌道電子の結合エネルギーは X 線として放出され物質外にも放出されるので、同様にCも正しい。
D
二次電子は、光子から軌道電子へエネルギーが転移した後の現象でエネルギー転移には関係ないので、D は正しくない。
電子の静止エネルギーと同程度のエネルギーをもつ電磁波は、電子との散乱の際に粒子のよ うに振る舞い、電子に運動量を与えコンプトン散乱と呼ばれる非弾性散乱を起こす。
コンプトン 効果は光子がエネルギーと運動量をもった粒子として電子と散乱する現象であり、A は正しい。
コンプトン散乱では、電子に運動量を与えるため、散乱波は長波長(低エネルギー)にシフトす る。このため入射波と散乱波は干渉せず、B は正しくない。
電子の静止エネルギーと同程度のエネルギーをもつ電磁波は、電子との散乱の際に粒子のよ うに振る舞い、電子に運動量を与えコンプトン散乱と呼ばれる非弾性散乱を起こす。
コンプトン 効果は光子がエネルギーと運動量をもった粒子として電子と散乱する現象であり、A は正しい。
コンプトン散乱では、電子に運動量を与えるため、散乱波は長波長(低エネルギー)にシフトす る。このため入射波と散乱波は干渉せず、B は正しくない。
コンプトン散乱の断面積は原子番号 (Z)に比例し、線減弱係数(Z と単位体積あたりの原子数(N)、すなわち物質の電子密 度に比例する。一方、コンプトン効果に対する質量減弱係数(ここで、A は質量数、Aはアボガドロ数である。したがって C は正しい。
電子密度N(原子を1[cm3]に集めた合計の個数)は次の式で表せます。
$$ N= \frac{ρ}{A}・N_A $$
ρ:密度 [g/cm3]…1[cm3]あたりの質量[g]
A:原子数 [g/mol]…原子1[mol]分の質量[g]
NA:アボガドロ数 [個/mol]…1[mol]の個数(6.0×1023 個)
ρ/A:1[cm3]あたりの何[mol]分の質量[g]があるかを表す
ただしよってあまり変化しない量なので、質量減弱係数は物質にあまり依存しない値となる。いくつか の物質について電子密度依存性を図1に示すと、質量減弱係数は電子密度に対してほぼ一定の値 をもち、線減弱係数は電子密度に比例することがわかる。そのため、設問 C 中の「質量減弱係数」 は「線減弱係数」とした方がより適切である。
コンプトン散乱では、電子に運動量を与え吸収線量に寄与するので、D は正しくない。
図1 2 MeV の光子に対する質量減弱係数と線減弱係数の電子密度依存性。NAはアボガドロ 数。アイソトープ手帳(社団法人日本アイソトープ協会)のデータを使用し作成した。
エネルギー(γ)の光子により散乱された電子のエネルギー(e)は、光子の散乱角度を、 電子の静止エネルギーを2 = 0.511 MeV とすると、
e = γ 1+ 2/γ(1− cos)
で与えられる。
光子が 90º方向にコンプトン散乱されたときの電子のエネルギーは、
e = γ 1+2/γ(1−cos90) = 1.0 1+0.511/1.0 = 0.66 MeV
散乱された光子が 180方向にコンプトン散乱されたときの電子のエネルギーは、
e = γ−0.66 1+2/(γ−0.66)(1−cos180) = 0.34 1+0.511/0.34/2 = 0.19 MeV
したがって、検出器に付与されるエネルギーは、
0.66 + 0.19 = 0.85 MeV
(n, )反応により 3H が生成する。
この反応の 値は、1 u = 932 MeV/c 2を使うと
= (7.02379 − 7.01865) × 932 = 4.79 MeV
となる。
反応前の n は熱中性子で、検出器中の 6Li は静止しているので反応前の運動エネルギー の和は Q 値と比べて無視できる。
粒子と 3H は、Q 値を運動量保存則とエネルギー保存則に従い 分け合う。
エネルギーの比率は、問 12 で計算した励起状態にある複合核の場合と同様と見なせる ので、問 12 の答えが使える。
つまり、粒子と 3H は Q 値を MH-3 : Mの比で分け合う。
粒子に 与えられるエネルギー(E)は = 3 7 × 4.79 = 2.05 MeV
コメント