運動する物体の質量は、光速度に近づくほど質量が重くなっていきます。
古典物理学(ニュートン力学)で扱うような、運動速度が光速度よりもはるかに小さい分野における物理学は運動速度による質量の変化を無視することができ、非相対論的物理学と言います。
一方、運動速度が光速度に近い分野における物理学は相対論的物理学と言います。
電子などの非常に小さな粒子は運動速度が光速度に近い領域で、質量変化が顕著に表れるためローレンツ変換によって質量の変化を補正する必要があります。
静止している物体の質量をm0とすると、運動している物体の質量mは次の式で表されます。
$$ m = m_0 \frac{1}{\sqrt{1-β^{2}}} \quad , \quad β=\frac{v}{c} $$
vは静止系(静止していた場所と同じ座標系)での粒子の速さです。
非相対論的物理学ではβが限りなく0に近づくためm=m0と考えて良いことが分かります。
非相対論的物理学
物体について
全エネルギー
$$ E = E_0 + K_m $$
静止エネルギー
$$ E_0 = m_0 c^2 $$
運動エネルギー
$$ K_m = \frac{1}{2}m_0 v^2 $$
運動量
$$ p_m = m_0v $$
相対論的物理学
物体について
全エネルギー
$$
\begin{align}
E &= mc^2 \\
&= m_0 \frac{1}{\sqrt{1-\beta^{2}}} c^2 \\
\end{align}
$$
静止エネルギー
$$ E_0 = m_0 c^2 $$
運動エネルギー
$$
\begin{align}
K_m &= E – E_0 \\
&= mc^2 – m_0c^2 \\
&= m_0 \frac{1}{\sqrt{1-\beta^{2}}} c^2 – m_0c^2 \\
& = \dfrac{1}{2}m_0 v^2 + \frac{3}{8} m_0 \frac{ v^4}{c^2} + \frac{5}{16} m_0 \frac{v^6}{c^4}\cdots \\
\end{align}
$$
運動量
$$
\begin{align}
p_m &= mv \\
&= m_0 \frac{1}{\sqrt{1-\beta^{2}}} v \\
\end{align}
$$
光子について
全エネルギー
$$ E_γ = hν $$
静止エネルギー
光子は静止せず光速度c(3×108m/s)で一定、質量は無い
運動エネルギー
$$ K_γ = E_γ = hν $$
運動量
$$
\begin{align}
p_γ &= \frac{E_γ}{c}\quad , \quad c=νλ \\
&= \frac{h}{λ} \\
\end{align}
$$
相対論的全エネルギーの式
運動する物体や光子の全エネルギーを表す式です。
相対論的全エネルギーと運動量pの関係式でもあります。
$$ E = E_γ= \sqrt {(m_0 c^2)^2 + (p c)^2 } \quad , \quad p=mv$$
静止している物体はv=0よりp=0なので、E=m0c2(物体の静止エネルギーの式)となります。
光子には質量がないため、m=0ではEγ=pc(光子の運動量の式)となります。

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