特殊相対性理論に至るまで

EMANの相対性理論
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マクスウェルの方程式

ジェームズ・クラーク・マクスウェルは波動方程式に基づいて、電場と磁場の時間的な変動が伝播する波動(電磁波)の存在を予言しました。

さらにハインリヒ・ヘルツは電磁波の存在を実証し、理論的伝播速度が実験的に得られていた光の速度と一致していることから、光は電磁波の一種であると予言しました。

それに伴い、光は真空であっても伝播することから、真空中で光を伝える媒体(エーテルと呼ばれる)が必要であると想定され、エーテルの存在を検証する実験が行われました。

マイケルソン・モーリーの実験

アルバート・マイケルソンは、エーテルの流れを検出するのに十分な精度を得られる実験方法を考案し、エドワード・モーリーの協力を得て高い精度でこれを観測しました。

この実験では、ニュートン力学に基づき、地球の自転する速度を利用して、観測者の速度が変われば観測される光速も変化することを期待して実験を行いましたが、その結果は観測者の運動状態にかかわらず、光速は常に一定でした。

この実験結果を説明するための一つの仮説として、ローレンツは、観測者が静止していても運動していても「光の速さが一定になるように空間や時間が縮む(ローレンツ収縮)」ことを考えました。

しかし、そのような仮定を導入することで確かに実験事実は説明できるものの、ニュートン力学との矛盾を根本的に解決するものではありませんでした。

特殊相対性理論

マイケルソン・モーリーの実験結果を踏まえ、アインシュタインは、「エーテルは存在しない。また、観測者の運動状態に関わらず、観測する光速度は一定である」と考えました。

そしてニュートン力学では観測者の運動状態が異なるとマクスウェルの方程式が変化しますが、これを変えないようにするための変換式、現在の「ローレンツ変換式」を導き出しました。

こうしてアインシュタインは論文「動いている物体の電気力学(1905年)」で特殊相対性理論を発表し、ローレンツ変換を行うことによってマクスウェルの方程式におけるニュートン力学と実験結果の矛盾を解決しました。

ただし、特殊相対性理論は慣性系においてのみ物理学の法則が同等に働く(相対性原理)理論です。「慣性系」とは、静止状態にあるか等速運動を行っている観測者の運動状態で、このような特殊な状態でのみ成立する理論でした。

一般相対性理論

特殊相対論では、観測者が重力場にいる状態や、加速度運動をしている状態における物理現象を表すことはできませんでした。

この問題を解決するために、アインシュタインは、加速度による「見かけの重力」と重力場を等価とする(アインシュタインの等価原理)ことで、観測者がどのような運動状態でも慣性系として扱える(一般相対性原理)ようにすることができました。

これをアインシュタインは論文「一般相対性理論の基礎(1916年)」として発表しました。

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